現在進行中のプロジェクト

【最先端・次世代】プラズマスプレーPVDによる次世代リチウムイオン電池Si系複合ナノ負極開発(H22-H25, PL 神原 淳)
 C(黒鉛)を負極材として用いた現行のLiイオン電池負極に対して、Si材料を負極とすれば10倍もの容量増加が期待される。しかし大幅な容量増加と引き替えに、充電時には400%もの体積膨張が生じ、Si負極自体が粉砕され、実用に十分なサイクル特性が得られない技術課題が残る。この難題に対し、近年、Siナノ粒子、カーボンナノチューブを利用したナノ複合化が有効であるとの報告がされるものの、産業ベースで展開できる技術での報告は未だない。ここに、産業応用に必要となるスループットを潜在的に有するプラズマスプレー技術に着目すれば、原料粉末はプラズマの有する高温度高活性環境場にて完全蒸発・急速凝縮し、ナノ粒子の製造が可能となる。この技術的特徴を最大限に利用すれば、Si-O-C系のナノ複合化粒子も高スループットにて製造する可能性が見えてくる。
 Liイオン電池を取り巻く現状は、全世界的に、各社各国が覇権争いにしのぎを削り、緊急にも、高容量化、高サイクル化を両立する技術の開発が求められる。昨年、熱プラズマを利用したLiイオン電池用負極材料に向けのナノ粒子製造技術開発を狙う大型プロジェクト「SIMBA」が、ヨーロッパ連合の推進の下、立ち上げられた。明らかに、プラズマ技術の特長とLiイオン電池用材料製造への可能性に世界も注目し始めた証拠でもある。とりわけ材料原資に乏しい我が国では、他国には追随できない技術でリードする必要が大いにある。時を得て進化したプラズマスプレー技術によりLiイオン電池に対する社会的技術的要請に応え、世界に先駆けたグリーン・イノベーション技術推進に貢献することを目的とする。

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【科研費:挑戦的萌芽】クラスター支援超高速SiCエピタキシ−(H26-H27, PL 神原 淳)
 パワーデバイス開発において,SiCは発熱・サイズなど特性の優位性から現行Siに置き換わる材料として期待され,既に一部市場へ導入され始めている。しかし,SiCの高温昇華性の材料特性に起因して,バルク単結晶の製造技術の主流は昇華法であり,大幅な生産性向上は本質的に難しく,低コスト化が大きな課題とされている。溶液法、熱CVD法も高速技術として検討されるが,前者では原料や溶剤混入,後者では気相からのダストパーティクル混入などが課題とされる[1]。とりわけ注視すべきは,何れも既往の材料プロセスの基本概念に基づく正統法であり,逆に,SiC系に即した画期的なアイデアを踏まえた製造速度の高速化や大型化が期待されるものでは無い。一方で,近年、低圧プラズマの非平衡性と熱プラズマの高速フロー特性を兼ね備えた中間的圧力領域のメゾプラズマに着目し,Siエピタキシャル厚膜を高速・高品質・高収率で両立し堆積する技術の可能性を示された [2-5]。この背景にある「液体様クラスターが成膜前駆体となり,単結晶基板上で構成原子が瞬間的自己整合的に原子配置移動することによってエピタキシャル成長が可能となる [6]」成膜機構も実験的・数値的に明らかになり,従来のガス分子表面反応機構とは本質的に異なる新たな成膜様式として認識される。以上の技術・研究進展を踏まえ,様々な多元系材料への本堆積技術適用の代表例として,特異クラスターを基本とした高速SiCエピタキシー技術確立を目指す。
参考文献
[1] D. Chaussende, et al., J. Phys. D: Appl. Phys. 40 (2007) 6150
[2] M. Kambara, et al., J. Appl. Phys. 99 (2006) 074901
[3] J.M.A. Diaz, et al., Jpn. J. Appl. Phys. 46 (2007) 5315
[4] J.M.A. Diaz, et al., J. Appl. Phys. 201 (2008) 013536
[5] S.D. Wu, et al., Plasma Chem. Plasma Process 33 (2013) 9433
[6] L.W. Chen, et al., J. Appl. Phys. 111 (2012) 123301

これまでのプロジェクト(H13〜H21)

【科研費:基盤S】ウエーハ等価薄膜太陽電池の直接製造を可能とするメゾプラズマ次世代シーメンス法開発(H21-H24, PL吉田豊信)
 エネルギー・環境問題に対応する高性能太陽電池製造技術開発の世界的要請を受けて、革新的高純度シリコン原料製造に向けた新機軸展開が精力的に進められている。特に、現行のシーメンス法は高純度シリコン原料製造法としてある意味では完成された技術ではあるが、原理的に反応収率は高々30%を越えず、また基体加熱電力コストが高いなどの欠点もある。近年、種々の改良シーメンス法が検討されているが、何れもSiHCl3の水素還元過程を流動床や炉壁を利用した反応表面積向上により不均化反応の効率化を図ったものでしかなく、著しい需要拡大が予測される太陽電池開発に対応するためには、この反応収率を飛躍的に向上させる技術に期待が寄せられている。
 ここに我々が10年来継続展開して来た熱プラズマと低圧プラズマの中間に位置する新規メゾプラズマの、熱・イオン衝撃が抑制された環境下での高速輸送の特徴に着目すれば、高フラックス励起水素原子の利用により、シーメンス法の速度論的限界を新たな反応パスによって収率を高められる可能性が見えてくる。他方、メゾプラズマCVDによる高品質エピタキシャル薄膜の高速成長も実証しており、これら技術の統合により、ウエーハ等価品質の薄膜を高速で直接製造しうる画期的な太陽電池製造技術の可能性が顕わとなる。
 以上を背景に、本研究では、メゾプラズマ環境下でのSiHCl3の励起水素原子高効率還元を特徴とした高品質Si薄膜の直接堆積を可能とする次世代製造技術開発を目指し、Si結晶太陽電池の将来展開基盤技術確立の一端を担う事を目的とする。

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【科研費:若手A】次世代ジャイアントエレクトロニクス対応メゾプラズマエピタキシー技術開発(H20-H22, PL 神原 淳)
 ナノ構造制御をマクロ領域で実現し産業ベースで展開できる次世代薄膜化技術に大きな期待が寄せられる。応えうる技術として、0.1〜10Torrの圧力領域にあるメゾプラズマの低電子・ガス温度、高密度プラズマ流の特徴に注目すれば、高速輸送特性を有しつつも熱的・イオン衝撃が抑制された環境が期待され、高品質薄膜の高速・低温成長の可能性が顕わとなる。事実、極最近、350℃、40nm/secで300cm2/Vs近いホール移動度を示すエピタキシャルシリコン薄膜堆積を実証した[1]。注目すべきは、成膜前駆体形成に関わるプラズマ/基板境界層でのX線小角散乱その場計測により、構成原子が緩く結合した数nmのクラスターを確認し、低温高速高品質エピタキシャル成長との極めて密接な相関が見出されたことである[2]。本研究は、この特異な構造のクラスターの特徴を応用して「メゾプラズマ横方向エピタキシャル成長(Lateral-epitaxial-overgrowth: LEO)技術」の確立に挑む。具体的には、成長初期段階のクラスター/プラズマ/基板表面の物理・化学的相互作用のその場計測に基づいて、「多結晶シード層上LEO制御」と「異種基板上多結晶シード直接形成」の2点から異種基板上への大粒径結晶Si薄膜の低温・高速直接堆積プロセスを設計する。

【科研費:基盤S】高温耐環境cBN薄膜デバイス創成(H16-H20, PL 吉田 豊信)
 立方晶窒化ホウ素(cBN)薄膜の気相堆積は過去十年間に様々なプロセスにより可能となり、今まさに高温耐環境デバイス創製に向けた研究段階に突入しようとしている。周知のようにcBNは半導体の中でも最大のバンドギャップを持ち、高熱伝導率、高温耐酸化特性等を合わせ持つダイヤモンドを凌ぐ究極の高温耐環境半導体であり、そのデバイス級薄膜の合成について我々は牽引的役割を果たしてきた。本研究ではCBN薄膜の気相合成において本研究ではcBN薄膜の高温デバイス化への展開を期し、1)500℃以上で作動するcBN薄膜デバイスに必須となるドーピング手法の開発、並びに電極コンタクトに関する諸現象の解明、2)単結晶cBN薄膜堆積を目指した、バイアス・ガス組成変調ヘテロエピタキシー成長法の確立、及び3)それらを包括したナノ結晶並びに単結晶cBN薄膜高温デバイス創製を目指した。

【科研費:若手A】次世代低温・超高速エピタキシーを可能とするナノクラスター制御メゾプラズマ技術開発(H17-H19, PL 神原 淳)
 低圧プラズマプロセスでの水素分圧、ラジカル種制御に端を発するシリコン薄膜堆積高速化のアプローチに対して、中間的圧力下でのメゾプラズマプロセスは成膜前駆体形成に関わる3次元的真空環境をプラズマ/基板間の厚さ1mm程度で数千度の温度勾配を有する特異な2次元境界層に圧縮したものとも考えることができる。従って高粒子密度、流束による高速堆積だけでなく、原料ガス凝縮に伴い形成されるナノクラスターが低圧プロセスと同程度のクヌーセン数の環境場により高品質厚膜を形成する鍵となりうる。本成膜機構理解に基づき、メゾプラズマ条件下でのシリコン薄膜堆積プロセス精緻化により、一定基板温度においては原料シランガス流量に対して比例して堆積速度が増加すること、一定ガス流量条件時には基板温度の低下に対しても成膜速度が減少しないこと、更に何れの条件下においてもホール移動度は300cm2/V近い値を維持する高品質なエピタキシャル薄膜を実証した。特筆すべきは、通常確認されるシリコン表面の水素結合構造に関わるエピタキシャル停止(ブレイクダウン)する350〜450℃を下回る低温度でも〜40nm/secの高速堆積速度を維持しつつホール移動度>250cm2/Vの電気特性を達成しており、既往のプロセスとは異なる堆積機構に基づく,新たな高速・高品質薄膜堆積技術を確認した点である。
 一方,メゾプラズマエピタキシー時のナノクラスター形成過程をその場計測する X線小角散乱計測システムを立ち上げ、プラズマ/基板間の境界層にて形成されるガス凝縮に伴うナノクラスターを計測・定量評価した。その結果,球状かつ3nm径をモードに粒径分布を有するシリコンクラスターの存在がその場計測にて確認され、エピタキシャル薄膜の表面形態及び電気物性との相関から、本クラスターは数nmのホットクラスターであり、これが低温・高速度でのエピタキシーを可能とする相関が明らかになった。
 更に、原子状水素の高フラックス化により、エピタキシャル成長温度を300℃以下にまで低下させうる可能性も明らかになった。加えて、サファイア基板上ではメゾプラズマ照射に伴う極めて特徴的な表面形態変化(自発的ナノ規則パターニング)も確認され、ナノクラスターと共にメゾプラズマ自体の様々な応用可能性を秘めた特長が顕わになった。

【NEDO】ナノコーティング技術(H13-H18, PL 吉田 豊信)
 次世代熱遮蔽コーティングの設計・プロセス確立を目標に、熱プラズマ溶射と物理気相堆積(PVD)プロセスの統合により実現するナノーミクロレベルでの組織複合化プロセス開発を進めてきた。主な成果として、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)原料粉末の粒径、投入速度及びプラズマ入力による加熱溶融・蒸発過程の制御によって、単一プラズマトーチを利用したプラズマスプレー過程にて、典型的な溶射皮膜から原料粉体の完全蒸発に伴うPVD合成特有の柱状組織、及び溶射/PVD複合組織形成が原理的に可能であることを見いだした。更にプロセスの高度化を意図して、粉末投入量に対するプラズマ発生並びに粉体の加熱履歴への影響(ローディング効果)、溶射粒子の変形凝固過程に関する数値解析予測を援用しつつ、ハイブリッドプラズマの各種制御変数の内、特に入力、ガス流量、ガス組成のプラズマ温度及び流速、投入原料粉末の溶融・蒸発状態への影響を明確にした。その結果、入力100kWでは100µm に近い大径YSZ粉末も10g/minの投入速度にて完全溶融状態にてスプレーされ基材と接合界面強度が増大すること、小粒径溶射粒子によるPVD層堆積プロセスでは、プラズマ/基板間距離、基板温度による基板直上での超速凝縮過程の加熱・蒸発過程の練成的な制御によって、ナノ粒子より構成されるポーラスな皮膜組織から柱状状組織制御可能であることを確認した。
 この結果を踏まえ、2基のプラズマトーチ各々に独立して溶射とPVDプロセスの役割を負わせ、タグチメソッドによる変数最適化に基づく積極的な組織構造複合化を行い、種々特性を有する皮膜を3層に複合した多機能多層熱遮蔽コーティング堆積を試みた。その結果、最下層/基板界面では大粒径溶射スプラット構造に伴う密着強度の向上、ポーラスな中間層では熱処理前後での相変化並びに著しい皮膜微細組織の変化も確認されない極めて高い熱的安定性・耐焼結性、更に、最表面層では電子ビーム蒸着膜(EB-PVD)と比して2倍以上の強度を有する耐衝撃特性(換算ヤング率250GPa)が確認された。熱遮蔽マルチコーティングとしては1W/mK程度の極めて低い総括的熱伝導度を実現しつつも1200℃、130時間の等温加熱試験でも剥離が全く観察されない優れた接合性、また熱サイクル試験でも180回の加熱冷却にも耐える多層コーティングを実証した。加えて、本プロセスの溶射被膜の赤外光透過率は典型的な大気圧溶射被膜(APS)、EB-PVDのそれよりも極めて低いこと、また熱プラズマPVDの反射率はAPS、EB-PVDよりも高い値となる光学特性が判明した。即ち、上述の熱的、機械的特徴に加えて、高温環境下利用に際して顕在化する輻射加熱を効果的に低減しうる光学特性も付加された、多機能熱遮蔽コーティングを提案することに成功した。

【科研費:基盤S】耐熱・耐環境ナノcBN薄膜デバイス創製(H13-H15)
【1.TDBTによるICP-CVD法における結晶層のみからなるcBN堆積】
ICP-CVDによる薄膜堆積では時間制御バイアススパッタ法(TDBT)によりイオンエネルギーのダイナミックな制御を行うことで、結晶相のみからなるcBN堆積をSi基板上に実現することに成功した。
【2.N空孔をアクセプターとするcBNプロトタイプデバイスの実証】
残留不純物密度を極力下げた超高真空スパッタ法により堆積された薄膜において観察されたcBN/Siヘテロ構造の高温整流特性は300℃までの温度域においても強いノンオーミック性を有しており、これらはBN中の窒素空孔によるp型伝導によるバンド変化により説明される明確な温度依存を有していた。
【3.超高真空スパッタにおけるドーピングプロセスの開発】
上述のas-depo薄膜によるデバイス創製と並行して進められた原子上Siによるドーピング実験では、負のDCバイアスを印加されたSi短針をプラズマ中へ挿入する実験的手法を開発し、バイアスの大きさと基板との位置関係によりドープ濃度が5桁以上のレンジで制御可能であることをSIMS分析により示すに至った。
【4.超高真空スパッタにおけるドーピングプロセスの開発とプロトデバイス実証】
ICP-CVDでの付随的な実験において、数nm以下の幅を持つシリコンエッジ上に同程度の厚さからなるナノサイズのBN構造(BNナノアレイ:BNNA)を作製することに成功した。この構造は従来のイオン結合体セラミックの材料力学理論では説明できない塑性変形を示し、せん断応力に対して0.3 nmという極めて小さい曲率半径まで可逆的に変形可能な性質を有することが透過型電子顕微鏡によるその場観察から確認された。こうしたナノ構造はMEMS等の微小構造における衝撃緩衝材としての応用可能性を有する。

 

もうちょっと紹介

耐熱・耐環境ナノcBN薄膜デバイス創製(H20まで)

・化学気相成長(CVD)法によるcBN薄膜成長機構
・物理蒸着法(PVD)によるcBN薄膜デバイス開発
・プラズマ/基板表面の動的診断


立方晶窒化ホウ素は高い硬度、科学的安定性、ワイドギャップ、高い熱伝導度等の優れた物性を有する。このような基礎物性は耐磨耗ハードコーティング材料だけでなく、高温において動作する電子デバイスにも適する。本研究室では低圧誘導結合型プラズマCVD、位相制御バイアススパッタの両手法を用いてcBN薄膜の堆積及びその機械的、電子的物性の評価を行っている。昨年度の成果として、ナノサイズの列に並んだtBN(sp2結合乱層BN)のTEMを通じた機械物性測定が挙げられる。tBNナノアレイと名づけたtBNベーサルプレーンが並ぶ構造は最小半径0.2 nmまでの曲げに耐えうることが示されたが、こうした挙動は既存の無機物に対する変形メカニズムでは説明できないものである。ICP-CVDによる堆積においては初期tBN相の除去を可能とするプロセスを開発した。自発形成する初期sp2結合層はエピ成長を阻害する要因として知られているが、我々は基板面へのイオン衝撃をダイナミックに時間変化させることによりこの初期層を除去することに成功した。電子物性評価においては超高真空スパッタにより形成されたp-cBN/n-Si異種接合ダイオードは高い整流性を有することが示された。整流比は4桁にも及び、570K以下においても1桁以上を保っていた。

 

メゾプラズマ超高速エピタキシーによる高速・低温薄膜太陽電池創製技術開発

・アモルファス/ナノ結晶シリコン高速製膜技術開発
・X線散乱によるナノクラスターその場計測技術開発

 

シリコンを始めとする半導体素子作製には高清浄・低温成膜・ラジカル生成等の特長から低圧プラズマが適用される一方、熱プラズマは超高温という特長から高融点材料の溶融・蒸発を基礎とした遮熱コーティングが対象の中心と一般に認識される。しかし熱プラズマ堆積の原理に立ち返れば、原料種を制限せず超高温下にて原子状態にまで分解しプラズマ流によって高速度で基体に供給させる技術である。実際、本研究室ではSiCを始めとする機能材料においても低圧合成と比して数桁高速での薄膜化の可能性を実証し、更にこの成果は、プラズマ/基体間の境界層内における凝縮過程の制御によって目的薄膜組織に対応した種々原子・ラジカルのクラスタ化及びその堆積を可能とする技術として種々機能材料への発展を予見させる。そこで本研究では、現行薄膜化プロセスとは全く原理を異にする本クラスター堆積を基本として、熱・低圧の両プラズマの特長を兼ね備えると考えられるメゾプラズマにより、半導体材料の超高速・大面積薄膜化技術の確立を目指す。特に太陽電池用微結晶Siの超高速・大面積堆積を目指すために、ビームX線を用いたナノクラスター計測法を検討し、新堆積技術の提案とその学術的基盤の確立を目的とする.

 

プラズマスプレーコーティング技術開発(~H18)

次世代熱遮蔽コーティングシステム創製
超高温溶融セラミックス・金属の急速変形凝固挙動解析
・プラズマ内粒子完全溶融・完全蒸発過程制御による
 ナノ粒子・緻密皮膜のナノスケール高速複合化

本研究では、直流プラズマと高周波プラズマを組み合わせたハイブリッドプラズマスプレー法を用い、単一溶射粒子の変形・凝固過程のその場計測及び過冷現象を考慮した溶射プロセスシミュレーションにより溶射プロセスの基礎的理解を深めるとともに、主としてタービンブレード用超耐熱コーティングシステムの要素開発及び集積化を検討している。特に、本年、ナノコーティングプロジェクトの主たる装置として提案した世界最高レベルの250 kW出力ツインハイブリッドプラズマスプレーシステムを導入しほぼ完成をみるに至った事から、粉末溶射と気相堆積の複合化プロセスの特徴と考えられる傾斜機能化、空孔密度制御、クラック密度制御等の利点を生かし、超耐熱コーティングに要求される過酷な熱サイクルに耐えうる接合強度を得る為の特殊な組織・組成制御多層コーティング創製に挑戦している。単一溶射粒子の基板衝突時のその場計測装置を開発し、粒子の変形・凝固過程を測定したところ、過冷状態で衝突したと考えられる粒子が観察された。また、ジルコニアの粘性、基板界面接触熱抵抗の推定を行った。表面にフォトリソグラフィによって、数μmオーダーの微細加工を施し、その基板上にアルミナを溶射した。その形状を観察したところ、スプラットはトレンチと垂直方向に伸びた楕円となり、この微細な表面形状がスプラットの変形挙動に大きく影響することがわかった。

本知見をベースに高感度・高速レスポンスを実現するナノ粒子より構成されるガスセンサーの高スループット技術開発,さらにはLiイオン電池用ナノ複合負極材創製へと展開中。