研究紹介

プラズマ材料工学研究室(Plasma Materials Engineering Lab. PME)では?
半導体、電子セラミクス、オプトガラス材料、エネルギー材料、複合材料など、 現代の先端材料の開発にとってなくてはならない「プラズマ材料工学」の総合的な研究(プラズマの生成、物性、そして材料開発への応用)を行なっています。

プラズマとは何?
「プラズマ」と名付けたのは、単分子膜の研究でノーベル化学賞を受賞したI.Langmuirで1929年のことです。プラズマは自然界ではオーロラや稲妻などで馴染み深く、実験室ではプラズマを作るために放電を利用しています。危殆に高電圧をかけるとわずかに存在する荷電粒子(大気中といえども宇宙線などの作用によって電子やイオンが存在する)が加速され、高エネルギーを得ると他の分子や原子と衝突して解離やイオン化をもたらします。生成した粒子も電場により道央に加速されてイオン化を起こします。これがくり返されて、いわゆる電子のなだれを引き起こして安定なプラズマ状態がつくり出されるのです。これらプラズマを用いた製品,プラズマ状態そのものは,身近にたいへん多く存在しています。

一家に一枚プラズママップ(文部科学省)

低圧プラズマと高温プラズマ(プラズマを大別してみると・・):
100Torr以上の圧力下では電子が他の粒子に衝突しないで進む距離(平均自由行程)が小さく、電子が十分に加速されません。同時に、電子の運動エネルギーは熱エネルギーとしてガス分子に吸収されてしまい、電子温度とガス温度は等しく、いわゆる、熱的な平衡に達します。このプラズマ状態を熱プラズマ(高温プラズマ)と呼んでいます。一方、圧力を100Torr以下の低圧にすると、電子の平均自由行程は大きくなり、それに伴って電子の運動エネルギーは増加します。ところが、陽イオン、気体分子の運動エネルギーは小さいまま、すなわち、イオン温度、ガス温度が常温近傍であるのに対して、電子温度は100倍以上もの高温に達します。この状態を非平衡プラズマ(低圧プラズマ)と呼んでいます。低圧プラズマはガス温度が低く保ちながらも高い電子エネルギーを利用して様々な反応を促進させる形で適用されます。一方で,高温プラズマは実験室内においても10,000〜20,000℃にも達する,燃焼炎では達成できない高温度場をていきょうできることから,超高温の無機化合物、金属の精錬、処理に利用されています。なお、日常、頻繁に耳にする、グロー放電、コロナ放電は低圧プラズマに、アーク放電、プラズマジェットと呼ばれるものは、熱プラズマに分類されます。

いずれのプラズマ状態においても、電子エネルギーの密度が高く、その分布が広いことが特徴であり、これが、プラズマを用いた化学反応を他の方法にくらべて高効率化することができ、また逆に複雑で多種多様な化学反応を引き起こすことになります。普通の化学反応では1-2eVで十分であるが、プラズマでは、数十eVにも達することからも通常の方法では困難な化学反応も引き起こすことができ、遅い反応速度も高速に行うことができるのです。

メゾプラズマへの展開
メゾプラズマはグロー放電とアーク放電の中間的領域、特に0.1〜10Torr前後の圧力領域、1〜10A/cm2前後の維持電流領域でのプラズマを指します。この領域では、電子温度(Te)は0.2〜1eV程度、ガス温度(Tg)は高々0.5eV以下となるTe/Tg=1〜10と記述され、Te/Tg=50〜100の低圧プラズマ、Te/Tg=1の熱プラズマ領域とは異なるプラズマ環境にあります。言い換えれば、「電子カイネティクス支配環境」の低圧プラズマと「電子/重粒子衝突支配の熱力学的環境」である高圧プラズマに対し、「ラジカル/イオン化が支配する重粒子カイネティクスによる化学種制御プラズマ」と特徴づけられます。

具体的な研究トピックス

 

Documents:

参考資料

  メゾプラズマCVDによる高速低温堆積技術応用(Japanese)   プラズマ・核融合学会誌 vol.85 (2009) 88-93
  次世代プラズマコーティング技術 (Japanese)   応用物理 第75巻 第4号 (2006) 412-418 
  News from Institutes and Research Centers Around the World (in Journal of Thermal Spray Technology) (English)  

国際学術論文誌上での研究室紹介/ Vol.15(1) (2006) 17.

書籍

  Advanced Plasma Technology (Ch.23 Recent progress in Plasma Spray Processing)   Wiley-VCH
  ナノコーティング(セラミックス・コーティング技術の新しい展開)   技報道出版
  薄膜ハンドブック(第2版)4.8.3耐熱性   オーム社
  材料テクノロジー10 材料プロセス技術II (2.熱プラズマと材料開発)   東京大学出版会(吉田豊信教授
       

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